生糸とは?生糸ができるまでの工程や構造について

はじめに

皆様は、生糸(きいと)はご存知でしょうか?生糸は絹になる糸のことを言います。絹について知っていただくために、絹は何からできているのかをご説明させていただきたいと思います。

生糸とは?

生糸

皆様は生糸(きいと)はご存知ですか?生糸とは、絹織物になる前の糸のことを言います。生糸は、カイコガという虫の幼虫が繭をつくります。繭を作る際にカイコが口から糸を吐き出し繭を作ります。繭から繭糸(けんし)をとり出し、数本合わせたものを生糸と言います。カイコが吐き出す糸は平均して、1本1,500mもの糸を吐き出します。天然繊維では唯一の長繊維となります。

生糸は天然素材唯一の長繊維。長繊維の特徴は

前述したように、天然繊維で唯一の長繊維でる生糸は繊維状にした時に、毛羽立ちが少なく肌ざわりがなめらかなのが特徴です。繭から糸を取り出す時に出るくず繭などは短繊維となり、同じシルクでも織物にした際の表面を見てみますと、毛羽立ちが多くなっています。同じシルクでも、使う糸によって風合いや肌ざわり、光沢感なども変わってきます。

正絹ニット生地拡大

長繊維で織り上げたシルクの表面

絹紡糸

短繊維で織り上げたシルクの表面

生糸の構造

生糸の構造

生糸は繭糸を何本かまとめたものになります。上図は繭糸がどのように構成されているか表したものです。シルクの本体である2本のフィブロインとその周りを薄く覆っているセリシンとより構成されています。水色の部分がフィブロインになります。フィブロインをさらに細かく見てみると、水色部分の左側複数の糸が束になっています。フィブリルと言って数百本のミクロ繊維が束になっています。さらに、このフィブリルの中にはミクロフィブリルが集まっています。
シルクの通気性・保温性が良いのは、この繊維と繊維の間に無数の空気層が存在するからと言われています。

生糸が出来るまで

1.殺蛹(さつよう)

中にさなぎが入っているため、熱した乾燥空気をあて、さなぎを殺します。

2.乾繭(かんげん)

カビの発生や、さなぎの腐敗を防ぐために乾燥させます。繭乾燥機が用いられ外気を避け保管します。

3.選繭(せんけん)

穴が開いていたり、汚れている繭、形が変形しているものなど、不良繭を取り除きます。

4.煮繭(しゃけん)

前述しました構造でご紹介しましたが、2本のフィブロインをセリシンで包まれ1本の繊維になっています。繭を熱湯の中に沈めこのセリシンを溶かし繰糸できるようにします。

5.繰糸(そうし)

繭を作っている1本の糸の糸口を探し、数本の繭糸を合わせて1本の生糸にします。

6.揚返し(あげかえし)

巻き取られた生糸を別の大きな枠に乾燥しながら巻き返して束にします。

7.副蚕処理(ふくさんしょり)

3.選繭(せんけん)で除外された繭や、糸口をとり出す時にもつれてしまい生糸にならなかったキビソや繰り残った繭層は、絹紡糸(短繊維にする)の原料となり、さなぎは魚の餌に利用されるため、捨てられるものがない。

生糸から様々な絹織物へ

『絹』と一言で言っても、織り方、編み方によって様々な風合いの『絹』が出来上がります。
代表的な織り方は平織・綾織・繻子織などがあります。


平織り組織

平織

経糸と緯糸が1本ずつ交差した織り方です。1本ずつ交差しているため、表裏がなく経糸と緯糸の接触点が多いので、生地も丈夫で、摩擦にも強くなります。伸縮性はありません。シルクで平織の生地で代表的なものは羽二重シルクです。薄くても丈夫でなめらかな肌ざわりが特徴です。

綾織りシルク

綾織

経糸と緯糸が2本ずつ抜かして交差した織り方です。経糸と緯糸が交差しているところが斜めに表れるので、斜文織(しゃもんおり)とも呼ばれています。平織に比べると摩擦強度は落ちますが、伸縮性がありしわになりにくいという特徴があります。代表的なものはデニムが皆さん一番イメージできるのではないでしょうか。シルクではスカーフに使われることが多いです。


サテン織

繻子織(サテン)

経糸と緯糸の交差する点を目立たないように、表面に経糸もしくは緯糸を長く浮かせた織り方になります。なめらかで、ツルツルした肌ざわりで、光沢がとてもきれいで高級感があるのが特徴です。交差が少ない分、摩擦に弱く、ひっかかりやすくデリケートな生地になります。

まとめ

いかがでしたでしょうか。生糸のことについて、少し知っていただけましたでしょうか?
最近は、ほとんどが化学繊維のものが比較的安価で大量生産しやすく、またシワになりにくいなど、機能性も高くなっておりますので、化学繊維を使われています。
その点、シルクは生地になるまでも多くの工程を経て、多くの作り手の方たちの手間暇がかかっているため、どうしても価格が高価になり、またお手入れがしにくい、扱いづらいなどのイメージを持っておられる方も多いため、需要がどんどん減ってしまっております。
でも、生糸の品質や織り方によっても、生地の風合いや光沢など様々な出来上がりになってきたり、肌にやさしい素材でアレルギーを引き起こしにくいため、特に敏感肌の方などにはおすすめですし、シルクは一度着てみると手放したくなくなる気持ち良さがあります。
この記事を読んで、少しでも多くの方がシルクを知って、シルク愛していただけたら嬉しく思います。

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