肌にやさしい天然繊維を身に着けよう!綿(コットン)と絹(シルク)の違いは?

はじめに

私たちの生活はおびただしい数の化学物質にかこまれています。農薬や食品添加物はもちろん、衣服、化粧品から病院で処方される薬など有機化学合成された化学物質です。これらの化学物質は、人類が勝手に作り出したものです。
様々なものが溢れている今だからこそ、なるべく肌に刺激の少ないものを選ぶ必要があります。特に、体にも環境にも優しいのは天然繊維です。
天然繊維には綿、絹、麻、ウール、カシミヤなどがあります。
天然素材の生地は自然界にあるもので作られているため、肌への負担が少なく廃棄しても自然への悪影響を抑えられる素材なのです。
その中でも今回は綿とシルクについてお話をしてみたいと思います。


1.綿(コットン)

綿花

アオイ科ワタ属の多年草「綿(ワタ)」の種子からとれる植物繊維です。
綿の断面は数殊状の丸がたくさん並んだ形をしています。この丸の中心が空洞になっているので吸水性、保温性に優れています。

1)綿(コットン)の歴史

綿の栽培の歴史はおよそ7500年以上も前から行われており。インドやペルーなど熱帯地方の綿が好む環境下では古くから栽培が行われてきました。

日本に初めて綿が伝わったのが799年(延暦18年)と国史に記されていますが、綿が日本の風土には適さず定着はしませんでした。後の鎌倉時代以降に輸入品として徐々に広まり、室町時代中頃には需要が高まり染屋や織屋などが発展していきました。

2)綿(コットン)の生産国や綿の種類

世界で綿花を栽培している国は

1位 インド 1位 インド

2位 中国 2位 中国

3位 アメリカ 3位 アメリカ

世界3大高級綿というと
・ギザコットン(エジプト)
・スーピマコットン(アメリカ南西部)
・新疆(しんきょう)綿 (ウイグル自治区)
で、稀少価値が高く質が良いので有名です。綿繊維の長さによって作成するものが決まります。
短繊維綿(21mm以下)布団の中綿や脱脂綿
中繊維綿(21mm以下)Tシャツ、ジーンズ、タオルやシーツ
長繊維綿(28mm以上)上質なテキスタイル製品
繊維が長いほど扱いやすく上質なものへ加工されます。

3)綿(コットン)の特徴

コットンとして親しまれている繊維ですが、どのような特徴があるのでしょうか。

  1. 繊維の真ん中に中空という穴があり、水分をたっぷり含む構造なので汗などの水分をしっかり吸収してくれます。
  2. 繊維の先端が丸くなっているため肌触りが良く滑らかな風合いです。
  3. 水に強く耐久性に優れています。
  4. 染色性に優れているため様々な染め方ができ、発色がよいです。

4)綿(コットン)のメリット

  1. 一年を通して快適に使える。
  2. 繊維の熱伝導性が低く衣類にたまった熱が放出されにくいので暖かさが保たれる。
  3. 汗を吸収し放出しようとするときに気化熱が発生し温度を下げる性質がある。

5)綿(コットン)のデメリット

  1. 摩擦により毛羽立ちやすい。
  2. 吸水性はあるが乾きにくい。
  3. 縮みやすくシワになりやすい。

2.絹(シルク)

繭玉

カイコガの幼虫の蚕の繭から作られるたんぱく質でできた動物繊維です。

フィブロインというタンパク質の糸をセリシンという硬タンパク質でコーティングしされた、蚕が蛹になるために口から吐き出した繊維です。

1)絹(シルク)の歴史

シルクは、およそ紀元前の20世紀頃に中国で使われ始めたといわれています。中国の皇女は、当時繭で遊んでいて繭をお湯の中に落としてしまいました。しかしそれを拾い上げた時に糸を操ったことが、絹糸作りの最初と伝わっています。

日本におけるシルクの歴史

日本にシルクがいつ伝わったのかははっきりしていません。

シルクロードが出来るより遥か前の弥生時代の遺跡から絹織物が出土されていることから、日本には弥生時代ごろには伝来していたと考えられます。

明治時代は生糸生産が大変盛んでした、それまで世界一だった清国に負けじと生産し続け、さらに優れた蚕品種の開発や技術開発も行われ、明治42年に世界一の生糸輸出国となりました。輸出が始まった幕末から明治、大正、昭和の戦前までの80年弱、生糸は日本の総輸出品目の中で常に第一位、輸出の花形であり続けました。

2)絹(シルク)の生産国や種類

国産生糸のシェアは0.1%で、養蚕農家は186戸ほどしかありません。
残りの殆どは中国、ブラジルからの輸入でまかなわれています。

参照:農林水産省 蚕糸業をめぐる事情
https://www.maff.go.jp/j/seisan/tokusan/attach/pdf/sannshi-3.pdf

蚕の種類

  1. 家蚕(かさん)養殖の蚕
    家蚕はシルクの生産のために家畜化された昆虫であり、野生動物として生息しません。また野生回帰能力を完全に失った唯一の家畜化動物として知られ、人間による管理なしでは生きられないのです。
  2. 野蚕(やさん)天然の蚕
    絹糸を生成する野生の昆虫のうち人間が利用してきたものの総称をワイルドシルクといい、世界中に固有に存在する様々な特徴を持った糸を紡いで作成されています。
1位 中国 1位 中国

2位 インド 2位 インド

3位 ベトナム 3位 ベトナム

絹製品のほとんどは他の国からの輸入ですが、国内で生産を続けているメーカーもあり、 絹糸を作る製糸工場もあります。とはいえ、生産のコストが合わずに国内の養蚕家が少なくなってきています。
そんな中、 希少な国産の原料を使ってつくられた「純国産シルク(絹)」の価値を広めていこうという動きが始まっており、私たちもなるべく日本製のシルクにこだわり、仕入れるということを心がけています。 

3)絹(シルク)の特徴

シルクは動物性の繊維になります。18種類のアミノ酸が結合した繊維で、主成分はヒトの皮膚と同じ「アミノ酸たんぱく質」です。ですので、アレルギーなども起こりにくい素材です。

4)絹(シルク)のメリット

  1. 上品な光沢と滑らかな肌触り
    シルクは天然繊維で唯一のフィラメント繊維と呼ばれる長繊維のため、上質な光沢があり、滑らかでシワになりにくい素材になっています。
  2. 素肌に優しい
    18種類のアミノ酸と人の肌の成分が似ているため、素肌に優しいです。
  3. 吸湿性・放湿性・通気性・吸水性に優れる
    夏は汗を逃して蒸れにくく涼しいです。
    冬は保温性に優れているので暖かいです。
  4. 静電気を起こしにくい
    保水量が高いのでちりやほこりが付着しにくい。
  5. 紫外線から肌を守る
    紫外線を吸収して肌を守りますが、紫外線を吸収変色もしやすいです。

5)絹(シルク)のデメリット

  1. 紫外線により、変色しやすい
  2. 摩擦に弱い
  3. 水にぬれると縮みやすい
  4. 虫に食われやすい

まとめ

今回は、綿(コットン)と絹(シルク)について、まとめてみました。昨今サステナブルな素材として、天然素材も注目を浴びています。
綿(コットン)も絹(シルク)も化学繊維に比べると、洗濯に手間がかかったり、シワになりやすかったり、少し手間がかかりますが、化学繊維ではなく綿(コットン)と絹(シルク)は土に還るとてもエコな素材です。
地球環境のためにも、私たちひとりひとりが地球にやさしい素材を選び、身に着けることを選ぶのはいかがですか?

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